ザキンコのブログ

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ヤマケイ新書 リニアは南アルプスをくぐり抜けることができるのか リニア中央新幹線ダークツーリズムガイド | 山と溪谷社

忖度なしのルポルタージュ、秘境作家が書くリニア工事の闇

大鹿村に住む著者がリニア工事の現場で目撃した現実を、忖度なく丁寧に綴った一冊。 南アルプスの細い林道を大量のダンプカーが行き交う中、頻発する事故や、杜撰な工事体制による有害残土の山積み問題が克明に描かれる。 さらに、地域住民の生活を脅かす地盤沈下や水枯れ、遅れ続ける工事の裏側で露呈するJR東海の隠蔽体質が、次々と浮き彫りになる。 大鹿村ではリニアを推進すると出世し、反対派の著者はあからさまな嫌がらせを受けている。 リニア工事の差し止め訴訟では裁判所の忖度が疑われるが、開通後にはリニア公害による新たな訴訟が多発する可能性も指摘されている。 本書は、「早くて便利」だけが価値ではないと訴える。手がかかること、手をかけることにも、別の価値があるのだと。 読後、ざっと内容を思い浮かべてみたが、これらはほんの一部なので、ぜひ手にとって著者の南アルプスへの想いを感じてほしい。

最後に私見を述べる。リニアはJR東海の故・葛西敬之氏や過疎地住民の悲願とされるが、営利企業が経済合理性を無視して事業を継続するのは難しいだろう。行き詰まったらリニア事業を国に譲渡ししてしまうつもりなのだろうかと邪推する。 無謀なトンネル掘削を止めて地上の交通網を地道に整備する方が、持続可能で地域に優しい選択ではないだろうか。